春になり、新しい職場や新入生歓迎で居酒屋へ行く機会が増える方も多いのではないか。ここで、居酒屋でよく見かける風景「居酒屋のおしぼりで顔を拭く」について考察してみたい。
居酒屋にいくと、多くの店で温かい布おしぼりを差し出してくれるサービスがある。外から入ってきた顧客へ、飲食の前にこれで手を拭いてネという代物である。しかし、おしぼりを差し出されると脇目もふらず、とっさにそれを広げ「ガバっ!」と顔を拭く行為。これについては、各世代や個人差で感じ方が違うようだ。
温かいおしぼりの効果
「温かいおしぼりを当てると筋肉の緊張が緩み、血流がよくなります。目に当てると気持ちが良いという人もいますが、それは眼精疲労に効果があるためだ。目の周りの毛細血管が、温かいおしぼりを当てることによってほぐれ、ピントが調整しやすくなるのです。」と説明してくれたのは、おしぼり専門店を営むSさん。なるほど。人はとっさに体に良いことを条件反射的にするようにできているのだろうか。
マナー違反?
しかしながら、実際居酒屋で顔を拭く女性はあまり見かけることがない。何故なら、メークがとれてしまう、という問題がある。また、おしぼりは手を拭くもの。顔についた油や汗を人前で拭くのはマナー違反である、と考える女性も少なくないようだ。試しに、インターネットで「おしぼり 顔 拭く」と検索するだけで、あれよあれよと無数の「マナー違反だ」「何が悪いのだ」と、『顔おしぼり論争』がそこで繰り広げられている。なんと、女性だけではなく、男性側からもマナー違反であると感じている方もいるようだ。
海外では
居酒屋でのおしぼりサービスは、日本人の細やかな気配りが生み出した独自のサービスであるため、海外では同じような「おしぼりで顔を拭く」現象はないようだ。紙ナプキンは普及しているが、日本と違い手づかみで食べる食品(パンなど)も少なくないので、手を洗う習慣が日本ほど厳格ではない。道端にゴミがほとんんど落ちていない「キレイ好き」日本人というイメージが、このおしぼりによって益々定着するだろう。
おしぼりは本来、清潔な生活に貢献するもの。顔や体に当てると気持ちがイイものであるが、少なからずよく思わない人もいるようだ。これからお花見や歓迎会が盛んなシーズン。場所やシュチュエーションをみて適度に「おしぼりで顔を拭く」行為を楽しんでみてはいかがだろうか。